三角ヘアーの男
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2006-2-22
私はバス通勤です。
毎朝だいたい決まった時間に乗りますが、運がいいと彼に会えます。
誇張しすぎでもなんでもなく本当にこんな人です。
画力が高すぎて、肖像権侵害で訴えられそうですが、もし「あいつじゃね?」と思ってもそっとしておいてください。
彼は、バスが着くとダッシュで乗り込みます。
そして、車内をくまなく見渡します。
というかかなりキョロキョロします。
「さっきそっちは見たでしょ」と思っても同じところを5回は見ます。
今あなたが思ってる、キョロキョロの85倍を想像してください。
はい、それくらいでちょうどいいです。
一般人のキョロキョロを2とか3だとすると、彼は85です。
車内を見渡し、席が空いていればそこへ走って座り、空いていなければつり革につかまり立っています。その間もキョロキョロです。
座った後も窓の外と車内を交互にキョロキョロします。
座ると立っている時の半分に減りますがそれでも40近いので存在感は抜群です。
私は既に三度遭遇しています。
二度目の時、彼は私の前の座席に座りました。
遠くから見ていただけのあの人が目の前にいる。
その三角に触れたい。
その三角の面積を求めたい。
そんな衝動を抑えつつ、バスに揺られます。
しかしかなりのボリュームがある三角ヘアーの為、前が見えませんん。
目の前でキョロキョロされる恐怖たるや想像を絶するものでした。
三角が高速回転して円に見えたほどです。
窓に顔をつけ、対向車や外の景色を眺めてるのかなと思った次の瞬間には
車内に視線を戻し、また車窓へ。
落ち着きがないとかいうレベルはとっくに超えているので私は暖かく見守るだけです。
ところが、キョロキョロの弊害とでもいいましょうか、ついに事件が起きました。
「ゴン!!」
自分の頭のふり幅が分かっていないのと、バスの急激な揺れに対応できず彼は窓で顔をぶつけてしまいました。
「った・・・」
かすかに痛みをこらえる声が聞こえたかと思ったその瞬間、
またキョロキョロしはじめました。
その時、一瞬ではありましたがかなりの強さで顔を打った証拠を確認することができました。
鼻、赤くなっていました。
だからと言って彼がおとなしくなることはありませんでした。
私は名前も知らぬ彼の虜になり、三角男と呼ぶことにしました。
今後、何度も遭遇することになりますが、それはまた別のお話。