病院の待合室で見たおじいさん2人の意外な関係
スポンサーリンク
2006-02-17
日曜の朝。
旦那さんが「だるい・・・だるい・・・」と泣き喚く。
どうやら風邪とかそんなもんじゃなく
ひたすら「だるい・・・だるい・・・」と泣き叫ぶ。
カワイソウ。アーカワイソウ。
つい棒読みになってしまいましたが、とりあえず病院へ連れていきました。
休日で患者さんもたくさんいます。
旦那さんは診察室に入ったきりなかなか出てきません。
腹でも切られてるのかなと思いつつ、退屈なので同じ待合室でテレビを見ていた
Wおじいさんを観察することにしました。
五郎さん(仮名)と為吉さん(仮名)はとても仲がよさそうでした。
性格的には五郎さんがおてんばで、為吉さんが引っ込み思案といった印象です。
2人とも年相応に頭髪が失われておりました。
服装から推測すると外来患者ではなく、二人とも入院しているようです。
中島が磯野を野球に誘うように、「外来いこうぜ!」てな感じでしょうか。
何やら楽しそうに会話しています。
私も若輩ながら色んな人を見てきましたが、あんないイチャイチャしているおじいさん2人を見たことがありません。
あんなに仲良しがいて入院生活も退屈しないだろうなと
微笑ましくお二人を見ていた、その時です。
おてんばな五郎さんが引っ込み思案の為吉さんの頭をパチパチと叩きはじめました。
私が確認できただけでも20回以上。
しかし、為吉さんは抵抗もしないし、不満も言わないのです。
ただただ五郎さんに叩かれてへらへらしているだけです。
頭髪のない頭皮を数十回叩かれて痛くないはずがありません。
『ごめん。為吉さん。目の前で起きている惨事に手も足もでないわたしを許して・・・。』
私は心の中で為吉さんに謝罪します。
よく聞くと五郎さんは何か言いながら叩いています。
「俺を!(パン)置いて!(パン)こっそり!(パン)こんなとこに!(パン)来やがって!(パン)この!(パン)制裁じゃ!(パン)この!(パン)制裁じゃ!(パン)」
なるほど。そういうことですか。
為吉さんは五郎さんにだまってブラブラして外来にたどりついた。
テレビもついてるしここでしばらく時間でもつぶそうとのんびりしていた。
一緒にいれば殴られる。頭を少し休めたい。と言ったところでしょう。
ところが、五郎さんに見つかってしまった。
五郎さんは病院中を必死に探しまわったに違いない。
そしてやっと為吉さんを見つけた。
「俺を置いて一人で行くなんて!」
その怒りから、制裁という名の頭ペチペチをした。
事情はわかっったけど、このままでは為吉さんの脳が危険です!
そのくらい、叩かれているのです。
「五郎さん!そんくらいにしときな!」
そう言おうと、私が立ち上がろうとした次の瞬間!!
私はとうとう見てしまったのです。
老人が老人を殴打すると言う惨事の意外な側面を!
五郎さんが・・・
為吉さんを・・・
後ろから・・・
抱きしめた。
後ろからぎゅっと・・・強く・・・・。
あのー。これは一体何なんですかー?
すごいもの見せられてしまいましたよ。
ただ付き添いで病院に来ただけなのに。
どえらいもん見せてくれましたね。
突然、為吉さんが「よいしょ。」と立ち上がり、どこかへ行ってしまいました。
その後ろ姿をたった数秒見送った五郎さんは居ても立ってもいられなかったのか、すぐに追いかけていきました。
おそらくまた殴るのでしょう。
そうやって愛を独占しようとしているのでしょうけど、五郎さんそれは違いますよ。
そんなことばかりしていると、為吉さんは確実にあなたの元を離れていきます。
そんなアドバイスをしてあげられなかったことを悔やみつつ、五郎さんの背中を見送りました。
【観察結果】
五郎さん・・・ストーカー
為吉さん・・・魔性